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[連載]六韜三略(りくとうさんりゃく)〜1


Photo by Danor Aharon from Pixabay



【筆者名】 

 澤田耕治


【ご挨拶】

 私は1984年4月にLONDONに赴任いたしました。その後、東京での生活よりもLONDONでの生活を選び今日に至っております。 外国で暮らす日本人として日本の良さや英国との違いを感じ取りながら日々暮らしています。


 投稿にあたり、自分の生い立ちから紹介するのが日本の一般的な方法でしょうが、私は著名人でもありませんし、自慢できるほどの経験を重ねてきたわけではありません。30-40歳代で欧州各地でのビジネスを経験し、現在日系の企業に勤務している際立った能力や才能があるわけでもありません。


 そんな私がこれまで経験したこと、遭遇した出来事や一つのテーマを中心にしてその時の状況や感想を紹介したい、と考え投稿いたします。


【テーマ】

① 英国での生活を通して思うこと。

② 日英比較論

③ 日本を外から見た感想。

④ 英国生活を振り返って思うこと。



第一回 ニホンジン

 2021年に一年遅れで開催された東京オリンピック(TOKYO 2020)では、我が国の国名は“NIPPON”と紹介された。(余談ではあるが、1964年の東京大会でもNIPPONであった)


 JapanがよいかNIPPONがよいかは、読者にお任せするとして、我が国の正式名はニッポンではないか、と考える。日本銀行、日本政府などを多くのマスコミではニッポンギンコウ、ニッポンセイフと紹介する。しかし、一般的に我々がニホンと発しても誰からも注意されることはない。


 私はスポーツが好きでなので、少しスポーツの話を。                 

日本の柔道や剣道も国際的になって、JUDO, KENDOとして世界中で受け入れられるようになった。そのルールや様式も国際化してきて変化してはいるが、試合での用語は“IPPON(一本)”が使われる。外人さんがIPPON、WAZAARI、などと発して試合を進めているのを観るとそれらの国際化を感じる。


 そんな日本のスポーツの国際化について考えた時、世界にはそれぞれの習慣や考え方があるので、これからの日本人も海外のそれらを理解し受け入れる努力をしなければならない。と思った。もちろん、私は逆の考え方や意見を持ち合わせているのだが、それは次の機会に申し上げることにする。


 私は、ほとんどの日本人(にっぽんじん)はニッポンを中心に考えかつ何でも和訳したり、日本の基準にはめて考えようとするくせがある、と思う。しかし日本にないものを和訳しようとしても無理があるし、仮にできたとしてもその用語自体の解釈が各人違ったりする危険性を含んでいる。


 また、日本独自のものを海外に知らせるにも苦労はある。寿司はSUSHI、天ぷらはTEMPURA である。だから柔道や剣道 では“IPPON“でよい。それをノックアウトなどと言ったらやはりおかしい。0(ゼロ)もテニスでは”Love(ラブ)“ サッカーでは”Nil(ニル)“といっている。野球の四球(Four Ball)の死球(Dead Ball)もアメリカではそうは言わないと聞いた。 


 そのモノが誕生した土地の習慣や歴史があってそういう用語やルールになったのだから力づくで和訳したり英訳すると、その発祥国に対して失礼でもあるし用語本来の意味が変わってし恐れがある。日本語には漢字もあるし表音文字のカタカナもあるので和訳に便利ではあるが、すべてを和訳するのはどうかと思う。


 世界にはニッポン以外の習慣や規則があることを(一本)とするならば、それらを知り認めたうえで、もう(一本)の日本人としての誇るべき習慣、態度を海外でも堂々と実行できる、併せて二本の行動をとれる人を国際人と呼ぶべき、と私は考えている。          

そうなったときには、国際人という言葉さえなくなるのだろう。

 

それゆえに、 私は “日本(ニッポン)人よ二本人(ニホンジン)になれ。” と ことある毎に若者に訴えてきた。スポーツ好きの変な男が英国生活で得た教訓のひとつである。


 以前、ある若者にそんな話をしたら“僕はニッポンとアメリカとイギリスで生活したので三本人ですよ。” と答えてくれた。心の中で少し笑ってしまったが、それぞれの習慣や社会を理解して行動できれば三本でも四本でもよいと思っている。たくさん経験、体験して学ぶに越したことはない。






*六韜三略(りくとうさんりゃく)とは、人生を歩むうえで、また社会で生活していく上で、役に立つ教え。人生訓、処世術。中国の兵書、「六韜」と「三略」の併称。「六韜」は文・武・竜・虎・豹・犬の六巻があり、周の太公望呂尚の作とされている。「三略」は上巻、中巻、下巻の三巻があり、前漢の黄石公の作とされている。「韜」は剣袋や弓袋のこと、「略」は作戦や計略のこと。






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