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[連載]六韜三略(りくとうさんりゃく)〜 7


Image by Gerd Altmann from Pixabay




【筆者名】 

 澤田耕治


【ご挨拶】

 私は1984年4月にLONDONに赴任いたしました。その後、東京での生活よりもLONDONでの生活を選び今日に至っております。 外国で暮らす日本人として日本の良さや英国との違いを感じ取りながら日々暮らしています。


 投稿にあたり、自分の生い立ちから紹介するのが日本の一般的な方法でしょうが、私は著名人でもありませんし、自慢できるほどの経験を重ねてきたわけではありません。30-40歳代で欧州各地でのビジネスを経験し、現在日系の企業に勤務している際立った能力や才能があるわけでもありません。


 そんな私がこれまで経験したこと、遭遇した出来事や一つのテーマを中心にしてその時の状況や感想を紹介したい、と考え投稿いたします。


【テーマ】

① 英国での生活を通して思うこと。

② 日英比較論

③ 日本を外から見た感想。

④ 英国生活を振り返って思うこと。



第七回 定年

 私が日本で勤務していれば定年退職している年齢である。友人の中には悠々自適の生活を送っているものもいれば(彼はサンデー毎日と表現している)、自分の好きなことを楽しんで仕事にしている者もいる。私が中学生のとき、日本企業には定年制があるのにほとんどの企業の社長や重役はその定年の年齢を超えている人ばかりだったので、世の中の矛盾を感じたことをハッキリと覚えている。そして、自分自身には定年はない、とその時に決心した。


 日本のバブル景気真っ盛りのとき新聞の記事で、自分自身で人生計画を立て50歳で会社を辞めてそれ以降は自分の好きなことをする、という人の紹介を覚えている。またバブルがはじけた後、今度は生涯現役という言葉が紙面をにぎわせた時期もあった。そして現在は、寿命が延びたこともあり、また日本の労働人口が減少し始めたこともありリフレクションやリカレントなる言葉に置き換得て、個人の再教育あるいは資格取得などで人生100年時代をいかに生きるかを模索しているように感じる。


 雇用主からすれば、元気で体力がありかつ頭脳明晰経験豊かな人を低賃金で採用したいだろうが、そううまくいくはずがない。そんな人にはいつか転職の機会が訪れる。逆の人は、企業も必要としないであろうから、人員整理(Redundancy)の対象となりやすい。第三者はそんな人に対して、会社にしがみついている、と表現するが、人には性格、体力、経済状況、家庭の事情などがあり、安易に批判は出来ない。


 年齢を理由に優秀な人、経験や知識を持った人がその企業を去らねばならないのは、企業にとても損失の部分もあるのではなかろうか。そういう意味では、年齢を理由に退職を促してはいけない英国の労働法を日本も導入しても良いのではなかろうか。


 定年後を第二の人生と表現する人もいる。前記のリフレクション、リカレントの考えからすれば定年は自分自身の再スタートなのかも知れない。年齢で決めた定年制に縛られず自分の人生計画を明確に持って自分自身で定年時期を決められる、そんな人生でありたい。企業も個人も横並びや周りの目を気にせず、年金制度、教育支援、退職金制度など自分の企業をしっかりと分析をして企業にとって有効な制度を確立していきたいものだ。





*六韜三略(りくとうさんりゃく)とは、人生を歩むうえで、また社会で生活していく上で、役に立つ教え。人生訓、処世術。中国の兵書、「六韜」と「三略」の併称。「六韜」は文・武・竜・虎・豹・犬の六巻があり、周の太公望呂尚の作とされている。「三略」は上巻、中巻、下巻の三巻があり、前漢の黄石公の作とされている。「韜」は剣袋や弓袋のこと、「略」は作戦や計略のこと。






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