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[連載]六韜三略(りくとうさんりゃく)〜 6


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【筆者名】 

 澤田耕治


【ご挨拶】

 私は1984年4月にLONDONに赴任いたしました。その後、東京での生活よりもLONDONでの生活を選び今日に至っております。 外国で暮らす日本人として日本の良さや英国との違いを感じ取りながら日々暮らしています。


 投稿にあたり、自分の生い立ちから紹介するのが日本の一般的な方法でしょうが、私は著名人でもありませんし、自慢できるほどの経験を重ねてきたわけではありません。30-40歳代で欧州各地でのビジネスを経験し、現在日系の企業に勤務している際立った能力や才能があるわけでもありません。


 そんな私がこれまで経験したこと、遭遇した出来事や一つのテーマを中心にしてその時の状況や感想を紹介したい、と考え投稿いたします。


【テーマ】

① 英国での生活を通して思うこと。

② 日英比較論

③ 日本を外から見た感想。

④ 英国生活を振り返って思うこと。



第六回 現地採用

 正直申し上げてこの言葉は好きではない。しかし企業本社の方々から見れば業務分担にしても昇進に関しても依然として存在しているのではないかと想像する。


 私自身、日本企業に勤務していたときには、中途採用者や地方の支店支社で採用された社員に差別感を抱いていたのは否めない。しかし自分自身が英国内の日本企業でその身分になったときに、駐在員に対して劣等感あるいは仕事を任せてもらえない歯がゆさを感じた。さらに同じ現地採用の待遇でも日系企業と米英企業のそれとは少し違った。


 米英企業では採用時点でJOB DESCRIPTION(雇用契約書といっても良い)なるもので、各社員の業務分担が日系企業よりも明確に提示されていたので自分職域内で思い切り力を発揮できた。その上でさらに高みの業務を上司と相談の上広げることが出来た。もちろん認められればサラリーは増加する。逆にその部署が将来不要、あるいは本人の業績が悪ければ、部署の閉鎖、補償金を出して人員整理、と日本人からみれば非常にドライである。


 私の経験では、ロンドン在の日系企業ではその辺が曖昧だった。 三年程度駐在して日本に帰国する日本人駐在員の上司達は失敗のないことを優先して考えていたように感じる。それで現地採用社員の失敗や新企画の伸び悩みは自分の責任にもなるので、新しいことや現業務の改善にも消極的だった。その分サラリー上昇も他の社員と足並みを揃えられ、他の部署の手伝いにも垣根がなかったように感じる。その代わり、ドライな面は米英系企業に比べたら少なかったと思う。英国人の現地採用社員よりも日本語で命令できるしその背景を彼らよりも理解できているから、日本人の現地採用社員は日系企業にとって便利なのかも知れない。


 しかし、日本企業が世界で打ち勝っていくためには、各地で採用した社員に精一杯力を発揮してもらったほうがよいと思うし、本当に有能と判断された人物ならば本社に転勤させたり責任あるポストにつけるべきだと考える。


 社内の公用語を英語にしている企業もあるが、世界中の社内動向や情勢を知っておく事が最優先で、それをしやすくするために英語で「Communication」を取りましょう、という目的ではなかろうか。ローカル採用とか現地採用などという言葉ももちろん区別をやめて各社員が力を発揮できる採用、雇用契約そして経営を日本企業に期待したい。





*六韜三略(りくとうさんりゃく)とは、人生を歩むうえで、また社会で生活していく上で、役に立つ教え。人生訓、処世術。中国の兵書、「六韜」と「三略」の併称。「六韜」は文・武・竜・虎・豹・犬の六巻があり、周の太公望呂尚の作とされている。「三略」は上巻、中巻、下巻の三巻があり、前漢の黄石公の作とされている。「韜」は剣袋や弓袋のこと、「略」は作戦や計略のこと。






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