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【筆者名】
澤田耕治
【ご挨拶】
私は1984年4月にLONDONに赴任いたしました。その後、東京での生活よりもLONDONでの生活を選び今日に至っております。 外国で暮らす日本人として日本の良さや英国との違いを感じ取りながら日々暮らしています。
投稿にあたり、自分の生い立ちから紹介するのが日本の一般的な方法でしょうが、私は著名人でもありませんし、自慢できるほどの経験を重ねてきたわけではありません。30-40歳代で欧州各地でのビジネスを経験し、現在日系の企業に勤務している際立った能力や才能があるわけでもありません。
そんな私がこれまで経験したこと、遭遇した出来事や一つのテーマを中心にしてその時の状況や感想を紹介したい、と考え投稿いたします。
【テーマ】
① 英国での生活を通して思うこと。
② 日英比較論
③ 日本を外から見た感想。
④ 英国生活を振り返って思うこと。
第五回 キャッシュレス
先日バスの座席で日本の千円札を拾った。ここはロンドンであるが日本人コミュニティを通過するバスなので、おそらく日本人の方が落としたのであろう。
英国で日本円を拾うなど何か妙な気がしたが、国際化している日本ならそれもあるだろうと思う。また頻繁に行き来している方なら常時財布に日本円が入っていてもおかしくない。お金をしぐさで表すとき、日本では親指と人差し指で円(まる)を作る。英国では親指と人差し指で札を数えるしぐさで表現する。コイン(玉)とノート(札)の違いなのかな。
最近の支払いはほとんどカード決済で、現金が出回らなくなった。この現象はコロナ蔓延でさらに拍車がかかったように感じる。こんな私でさえこの一年間現金をほとんど使わずカード決済で生活するようになっている。その代わり銀行口座を前よりの頻繁に確認しておかねばならない。
最近英国の古銭を整理して若い人にそれらを披露した。珍しがるだろうと想像し、それに私の話を付け加えようと少し期待していたが、意に反してきょとんとして何も珍しがることがなかった。なぜか、と尋ねたら彼らは英国の現金を持っていない、という。来英して2年になるが現金を使ったのは英国到着時のタクシー代金と2日目スーパーで買い物した時だけだという。これには驚いた。彼らには古銭と現在流通して現金の何が違うのか興味がないはずである。エリザベス女王の肖像画の違いを見つけるくらいなのだろう。
ゼロ年代世代という言葉ある。同時多発テロ(2001年)やサッカー日韓ワールドカップ開催(2002年)の年あたりに生まれた世代をそう呼ぶらしい。生まれた時からスマホを使ってきたDIGITAL NATIVEを指すそうだ。その世代の若者に古銭などを見せて話題にしようと考えた私が古いのかもしれない。
しかし現金が流通しなくなったら、財布が不要になり現金を保管する金庫もなくなる。不謹慎だが銀行強盗も変化する。銀行自体も変わってきた。お金の支払いも家にいてできるのだから便利ではあるが、子供たちへのお小遣いの受け渡し方も変わっているのだろうか。お年玉、結婚のお祝い、さらにお香典の受け渡しはどうなるのかな? とちょっと心配になってきた。 私は今どきのお子さんがいくらくらいお小遣いをもらっているのか、あるいはお年玉、お祝い、お香典の相場を知らない。年齢を重ねただけの私も時代の波に乗っているとは言わないが乗せられて生活するようになった。
*六韜三略(りくとうさんりゃく)とは、人生を歩むうえで、また社会で生活していく上で、役に立つ教え。人生訓、処世術。中国の兵書、「六韜」と「三略」の併称。「六韜」は文・武・竜・虎・豹・犬の六巻があり、周の太公望呂尚の作とされている。「三略」は上巻、中巻、下巻の三巻があり、前漢の黄石公の作とされている。「韜」は剣袋や弓袋のこと、「略」は作戦や計略のこと。
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