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【筆者名】
澤田耕治
【ご挨拶】
私は1984年4月にLONDONに赴任いたしました。その後、東京での生活よりもLONDONでの生活を選び今日に至っております。 外国で暮らす日本人として日本の良さや英国との違いを感じ取りながら日々暮らしています。
投稿にあたり、自分の生い立ちから紹介するのが日本の一般的な方法でしょうが、私は著名人でもありませんし、自慢できるほどの経験を重ねてきたわけではありません。30-40歳代で欧州各地でのビジネスを経験し、現在日系の企業に勤務している際立った能力や才能があるわけでもありません。
そんな私がこれまで経験したこと、遭遇した出来事や一つのテーマを中心にしてその時の状況や感想を紹介したい、と考え投稿いたします。
【テーマ】
① 英国での生活を通して思うこと。
② 日英比較論
③ 日本を外から見た感想。
④ 英国生活を振り返って思うこと。
第四回 在宅勤務
以前ほどではないが、最近朝の通勤電車も混むようになってきた。コロナ禍で在宅勤務が一般化したので朝の通勤電車でも以前は座って通えたが、最近はそうでもなくなった。毎日通勤しないまでも週に何日か通勤している人も増えたのかも知れない。
在宅勤務者からすれば、満員電車に揺られることもない、それ以前に勤務時刻を気にしないでよい、出かける支度も不要。個人差はあるだろうが勤務時間中も私用を済ますことが出来る。金銭的にも交通費が不要である。
在宅勤務でも評価しやすい業務内容であれば良いのだが、コロナ禍でいたし方なく在宅勤務にした業務を各企業はどのように評価しているのか私には興味がある。企業は各在宅勤務者にコンピューター、プリンター、電話、必要な文房具を貸与しているのであろう。机もオフィスのスペースも削減できる。
一方毎日通勤してくる従業員の立場からみれば、不満がないとはいえない。まず通勤してこなくてはならない、それも交通費は自己負担である。勤務時間中も自分の業務はもちろん、業務以外のちょっとした手伝いが発生しそのしわ寄せは通勤者に来る。
長期間の在宅勤務者は社内事情を把握しづらいので、通信機器が発達したとはいえ社内事情を通勤者ほど理解していない。そのために起こる不平不満、チームワークの乱れも予想される。大袈裟で日本的ではあるが、在宅勤務で愛社精神が生まれるのか、と私の年代の人は考えるのではなかろうか。
最初から在宅での業務遂行を前提に作業内容(Job Description)、報酬、評価基準を定めた企業であればよいが、コロナ禍の様な外圧でいたし方なく在宅勤務したような企業は今一度見直さなければならないのではなかろうか。社会の変化に対応しなければならない企業経営の難しさも理解できるし、在宅勤務の優位性も想像がつく。しかし新しいものの導入によって失うものもあることを忘れてはならない。社員同士の信頼関係、チームワーク、ちょっとした会話から生まれるアイディアなどが少なくなってくるのではなかろうか。
コロナ禍で大きく普及を加速させたものに会議(授業)の仕方、キャッシュレス、そして在宅勤務がある。これらがさらに普及すれば人間同士のコミュニケーションが大きく変化するように思えてならない。そして数世代後には大きく人間関係が変わっているのだろう。
*六韜三略(りくとうさんりゃく)とは、人生を歩むうえで、また社会で生活していく上で、役に立つ教え。人生訓、処世術。中国の兵書、「六韜」と「三略」の併称。「六韜」は文・武・竜・虎・豹・犬の六巻があり、周の太公望呂尚の作とされている。「三略」は上巻、中巻、下巻の三巻があり、前漢の黄石公の作とされている。「韜」は剣袋や弓袋のこと、「略」は作戦や計略のこと。
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