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マリンスキー・バレエ団による「ドン・キホーテ」生配信

By Chikako Osawa-Horowitz


Mariinsky Ballet “Don Quixote” 3 Acts at Mariinsky Theatre

on Friday 5th Feb 2021 Live Stream on medici.tv


Artistic Director: Valery Gergiev

Conductor: Arseny Shuplyakov

Original Choreographer: Marius Petipa

Choreographer: Alexander Gorsky


Kitri: Viktoria Tereshkina

Basilio: Kimin Kim


この物語はスペインを舞台にしたコメディチックなラブストーリー。マリウス·プティパによる全編3幕から成り立っている。ボリショイ劇場で1869年に上演されて以降、世界中で上演され人気の高い作品といえよう。今回medici.tvから生中継で配信された。(有料サイトであるが、1週間何度でも観覧可能)イギリスではパンデミックの影響で去年の3月から現在もロックダウンが続き、英国内の芸術、文化的活動は中止されている中、このように自宅で気軽に生配信を観覧できる事は非常に嬉しいことである。


この舞台には最近ワガノワ·バレエ·アカデミーを卒業し、NHKドキュメンタリーに出演したマルコとアロンも出演している。マルコは第3幕、アロンは第1幕、第2幕に登場。


暗闇の中にスポットライトで浮かび上がる二人の男性。舞台中央で本を読んでいるのはドン·キホーテ、その傍にパンチョが控えるシーンから始まる。ドン·キホーテは妄想の世界に入り込み、愛してやまないドルネルシア姫を探し出すことを決意し旅に出る。


場面が変わり大勢の人々が町の広場に集まっている。そこにキトリが登場し、町の人たちと楽しく踊る。キトリの父、ロレンソは自分の娘と床屋の息子のバジルとの恋仲を認めずに、金持ちの貴族ガマーシュとの婚姻を無理やり推し進めているが、キトリは全く相手にしていない。


闘牛士や踊り子たちが広場で陽気に踊る中、ドン·キホーテが本物の馬に乗ってサンチョ·パンサと共に現れる。ドン·キホーテはキトリを愛しいドルシネア姫だと思い込んでしまう。


二人の踊り子たちの片方は2019年6月のワガノワ·バレエ·アカデミーの卒業公演で主役をミーシャ(ミハエル·バーキディジャ)一緒に踊ったアレクサンドラ·ヒテーエワ(通称サーシャ)である。広場の人々が賑わう中、結婚を許されたないキトリとバジルは駆け落ちすることを決める。キトリをドルシネア姫だと思い込んでいるドン·キホーテは二人の後を追っていく。


この場面ではエスパーダと闘牛士たちのマントをひるがえす迫力の踊りが見られるほか、踊り子の一人であるマリア·ブラノワ(現在第二ソロリスト)が舞台に突き刺すように置かれているナイフの間を器用に踊りこなすところが見どころである。


第2幕、満月が闇夜を煌々と照らす中、キトリとバジルが仲睦まじく登場する。二人の存在に気づいたジプシーたちは彼女らを快く招き入れ、ダンスを披露。その後二人を追ってきたドン·キホーテたちが合流し、ジプシーたちの人形劇を見せられる。しかし現実と非現実世界を理解できないドン·キホーテは風車を巨大な悪者と勘違いし、戦いを挑むも弾き飛ばされて気絶してしまう。


気を失ったドンキが夢を見ているシーンへと移る。森の奥深くで森の女王やキューピッド、そして憧れのドルシネア姫に出会う。夢の中を表現しているということもあり、スペインの風情は一切なく、優雅で優しい世界を描いている。ここでは水色のチュチュに身を纏ったマリア·ホーレワも華麗なソロダンスを披露。その後、道端に倒れているドンキをキトリの父やガマーシュが見つける。


第3幕、町のシーン。闘牛士や踊り子たちが華やかに踊りを繰り広げ、キトリとバジル、エスパーダとスパニッシュダンスの娘の踊りなどこ見応えのあるシーンが続く。キトリの父はまだ娘をガマーシュと婚約させようとするが、バジルが自殺の狂言をし、それに気づいたキトリは死んでいるバジルとの結婚を無理やり許してもらうようにドンキホーテに父を説得するように頼む。渋々許すと、バジルは起き上がりめでたく二人は結婚を許されたことを喜ぶ。二人を祝うように町の人々が踊る。


場面は婚礼式の場面に変わる。式に招待されたそれぞれの人々がそれぞれにスパニッシュダンスを披露、特にマリンスキーが誇るプリンシパルのビクトリア·テリョーシキナ(キトリ)と韓国出身、長身スレンダーのキミン·キム(バジル)のパドドゥはこの作品の最大の見どころであろう。キトリとバジルは皆に祝福されて幕が閉じる。


バレエ団によって演出は細かく異なるものの、このマリンスキーバレエ版も素晴らしく、さすがロシアを代表するバレエ団の完成された作品の1つに仕上がっている。



Photos: medici.tv screenshots

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