top of page

アンティークマーケット巡りのススメ

イギリスで暮らし始めて気が付けば15年。

移住してきた当初は頻繁にロンドンの中心に出ては街を探索したものでした。

2階建てバスに乗り込み観光客気分で、2階の一番前に座ってロンドンの街並みを見るのが楽しみだったり、また、休日には観光ブックに載っているようなカントリーサイドに遠出してみたりとそれなりにイギリスでの暮らしを楽しんできました。

が、しかし、15年もたつとロンドンの街に出るのも億劫になり、2階建てのバスの2階の一番前の席を陣取るよりは一階部分でやりすごすことが増え、休日には訪れたことのない観光地を探す方が難しくなり結局どこにも出かけないまま2日のお休みが終わってしまったりとここでの生活が徐々に非日常から日常への生活と変わってきて、「慣れ」という名の退屈に襲われることもしばしば。

しかし、唯一、今でもそこへ行くと子供のようにワクワクとして、嬉しさと興奮のあまり、周りにも目をくれず思わず我慢出来ずに走り出してしまいたくなる場所があります。

それは数あるイギリス文化の中の一つと言える定期的にロンドンやカントリーサイドなどで開催されているアンティークマーケットです。

ロンドン近郊では最大級と言えるサンバリーアンティーク(c)J News UK. Photo:Masako Sato

イギリス人は物をとても大切にする人種だと思うのですが、その象徴とも言えるのが、アンティークマーケットや、アンティークショップ、チャリティショップなどの数の多さに垣間見ることができます。

アンティークといえば聞こえはいいですが、実際にアンティークショップやマーケットで売られている物のほとんどがアンティークとまではいかないビンテージ物(*アンティークの定義は実際には存在しませんが、ここではざっくり100年以上経っていて希少価値のある物とします。それに対してビンテージは100年以下ですがそれなりの希少価値がある物という認識にて記載させて頂きます。)、であったり、中にはどう見てもただの中古品のガラクタにしか見えない物も売られていたりするアンティークマーケット(ショップ)。

アンティークやビンテージは基本一点ものや大量生産されていない物が

多いので宝探しの感覚で一期一会の出会いが楽しみの一つ(c)J News UK. Photo:Masako Sato

何がそこまで私をとりこにしているかと言えば、そんなガラクタの山の中からお気に入りのお宝を掘り出し、少しでもリーズナブルな価格で買えた時の喜びがたまらないのです。

まさしくお宝ハンターとなって、ロンドンの繁華街のデパートなんかでは売られていないような商品を見つけ出すのが楽しくてたまりません。

中には、日本の伊万里や伝統工芸品などが売られていたりしてびっくりする事があります。

アンティークマーケットの面白いところは、それがお宝かどうかはすべてその人次第というところです。

ブランドショップのファミリーセールなどで、狙っていた商品を安く買える楽しみとは全く違う魅力がアンティークマーケットにはあるのです。

アンティークマーケットにどんな物が売られているかはその日の売り主次第。

基本的には同じ商品がずっと売られているわけでもないし、同じ売り主が毎回いるわけではないので、自分が「これ!」と思える商品に出会えるかどうかはその時の運。

それが、たまらなく人を魅了しているのだと思います。

また、今では工場での大量生産が当たり前となった生活用品が昔はとても丁寧に作られていて今では買う事の出来ない繊細なデザインのものや、時代の移り変わりによって今では使われなくなった物なんかが売られていたり、イギリスという国を知る、そして時代という物を知るという意味でもアンティーク巡りはとても楽しいのです。

アンティークマーケットで何を探し求めているかは人それぞれかと思いますが、私に関して言えば、やはり職業柄テーブル用品がどうしても多くなり、食器や銀製品、ガラス製品を見ると血が騒ぎます。

とは言え、庶民の私が狙うのは本物のアンティークなどではなく、お値段も手ごろで普段使いに使えそうな銘柄やビンテージ物が多いので、希少性のある物を探して目を光らせているというよりは、いくらかでもお安く気に入ったデザインの物を探し求めているといった感じです。

そんな宝探し的楽しみを味わうことのできるアンティークマーケットですが、ここ数年は減少傾向にあり、私が渡英した15年前と比べ、アンティークショップの数も激減。

アンティークマーケットで売られている商品も、数年前に比べ、よりラビッシュ(ゴミ)とカテゴリー分けされているガラクタのような物が多くなり本物のアンティークや良質なビンテージ物の数は減ってきているように見受けられます。

なので、本当はこれ以上貴重なアンティークやビンテージを人に広めたくない気持ちもあるのですが、あのお宝さがしの楽しさを味わってもらいたい気持ちもあり、今日はいくつかロンドン・ロンドン近郊で開催されているおススメのアンティークマーケットをご紹介したいと思います。

1.ポートベローマーケット

言わずと知れた、ロンドンで開催される一番有名なアンティークマーケットと言えばやはりここが挙げられると思います。

私が学生でいた20年以上前に比べたら、アンティークマーケットの規模も随分小さくなりましたし、アンティークショップの数もめっきり減ってしまいましたが、アンティーク以外のストールも多く、賑やかなマーケット気分を楽しむのにはもってこいのマーケットかと思います。

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

Portobello Road Market

最寄り駅:Notting Hill GateもしくはLadbroke Grove

開催日及び時間:毎週金曜日と土曜日

www.portobelloroad.co.uk/

2.ジュビリーマーケット&アップルマーケット

毎週月曜日人気の観光地でもあるコベントガーデンで開催の小さなマーケットですが、小さいのと場所がロンドンの人気観光地にあるので値段がお高めと敬遠される方もいるのですが、どうして、どうして、実は掘り出し物に出会う率高しなのがこちらのマーケット。

お値段も、交渉次第では他のロンドン郊外のマーケットと変わりない値段まで値下げしてくれることもあります。マーケット探索後はコベントガーデン周辺のショッピングが楽しめるのも利点の一つです。観光でいらっしゃっていて滞在時間が少ない!という時にはもってこいのマーケットと言えると思います。

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

Jubliee Market & Apple Market

最寄駅:Covent Garden

開催日及び時間:毎週月曜日5:00am~5:00pm

https://jubileemarket.co.uk/

3.サンバリーアンティークマーケット(通称ケンプトンマーケット)

もっと本格的なアンティークマーケットを楽しみたい!本気で掘り出し物を探し出したい!という気合の入ったアンティークハンターにお勧めなのがロンドン近郊サリー州のケンプトンレース場で毎月第二・最終火曜日に開催されているこちらのマーケット。

上2つのマーケットに比べ、ぷらりと観光ついでに行けるような場所にはないのと、早朝からの開催という事で一気にハードルは上がります。

しかし、建物内、建物場外のストール数が多いときでは700以上にもなるこちらのマーケットはところせましと並べられた様々な商品を見て歩くだけでも楽しいマーケット本来の楽しさを120%味わえるところです。なかには、これが売り物?なんていうガラクタや不思議な物体なんかもあったりして、イギリス文化の楽しさを味わえること間違いなしです。

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

(c)J News UK. Photo:Masako Sato

Sunbury Antique Market ( Kempton Market )

最寄駅:Kempton Park Railway Station

開催日及び時間:毎月第二火曜日と最終火曜日

        6:30am~2:00pmくらいまで。

https://www.sunburyantiques.com/kempton/

これ以外にも、ロンドンの北、エンジェルで毎週水曜日と土曜日に開催されるカムデンパッセージや、ロンドンブリッジ界隈で毎週金曜日に開催されるバーモンジーアンティークマーケットなど規模は大きくありませんが、十分にマーケット気分を楽しめるアンティークマーケットが開催されています。

ぜひ一度、足を延ばして頂き、アンティークマーケットの楽しさを味わっていただけたらと思います。

Masako Sato/佐藤昌子

ロンドン在住。空間/インテリアデザイナー、イベントオーガナイザー。自宅空間と料理を総合的にコーデネイトするおもてなし教室「Atelier Curious March」開催。また、お教室サロンビジネス主催者を対象とした新しいタイプの自宅サロンを考案し、「英国式おもてなし空間コンサルタント」も開催。メルマガ「センスは磨ける!空間コーディネイト術」、翔泳社Webページ「みんなの暮らし日記」、日英アフタヌーンティー協会「UKレポート」掲載中。著書に「みんなのおもてなし日記」(翔泳社出版)https://curiousmarch.wixsite.com/march

bottom of page