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ガーシングトン・オペラ音楽祭 30周年記念シーズン


©️Photo:Clive Barda. ガーシングトン・オペラのオペラハウス

Garsington Opera Festival, 30th Anniversary Season

ガーシングトン・オペラ音楽祭 30周年記念シーズン

2019年5月29日-7月26日

https://www.garsingtonopera.org/

今年30周年を迎える夏の祭典、ガーシングトン・オペラは今シーズン新しい作品4本を披露する。スメタナの『売られた花嫁 (The Bartered Bride)』、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』、オッフェンバックの『ファンタジオ』、そしてブリテンの『ねじの回転 (The Turn of the Screw)』だ。今年も演奏とコーラスはガーシングトン・オペラ・オーケストラ及び合唱団が務めるが、『売られた花嫁』のみ英国の音楽の開拓者として、また質の高いパフォーマンスで有名なフィルハーモニア・オーケストラが演奏を担当する。

皮切りはチェコの代表的な国民オペラとして名高い『売られた花嫁』。威勢のいい前奏曲はコンサートで単独に演奏されることが多いのでご存知の方も多いと思う。前回『ユージェニー・オネーギン』でタチアナを歌ったナタリヤ・ロマニウがヒロインのマジェンカを演じ、彼女の恋人のイェニークをアメリカ人テノールのブレンデン・ガネルが演ずる。ポール・カラン演出の新しい作品をジャック・ヴァン・スティーンの指揮のもとにフィルハーモニア管弦楽団が演奏する。

続いてモーツァルトの傑作、『ドン・ジョヴァンニ』。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの前芸術監督である巨匠、マイケル・ボイドの演出作品なので楽しみだ。タイトルロールを演じるジョナサン・マックゴヴァンを筆頭にレポレロを演じるデイヴィッド・アイルランド、ドンナ・エルヴィラを演じるスカイ・イングラム、ドン・オッタヴィオを演じるトリスタン・グリフィスが、ロールデビューする。またドンナ・アンナを演じるブラジル人ソプラノのカミラ・ティティンゲとツェルリーナを演じるカナダ人ソプラノのミレイユ・アスリンが英国デビューする。

そして『ファンタジオ』。オッフェンバックの生誕100周年を記念し、英国史上、初めて上演される。昨年の演目『カプリッチョ』でクレロン役だったハナ・ヒップが主役のファンタジオを演ずるが、彼はジェニファー・フランス演ずるエルスベス王女に恋し、宮廷道化師に化けて彼女に近づく。因みにフランスは去年クリティックス・サークル賞で新人賞を受賞している実力派だ。ジェレミー・サムが英訳した台本を使って演じられ、演出はガーシングトンではお馴染のマーティン・ダンカン、指揮はベルリンのリアス・チェンバー合唱団の芸術監督であるジャスティン・ドイルが担当する。

さらにヘンリー・ジェイムズの心理小説をもとにしたベンジャミン・ブリテンの傑作『ねじの回転』が7月に登場する。二人の子供を守るために田舎の屋敷に派遣される若い家庭教師をソプラノ歌手のソフィー・ベヴァンが演じる。舞台セットはオリヴィエ賞、及びトニー賞の受賞経験のあるクリストファー・オーラムが担当するので期待を寄せている。

シーズン最後にはモンテヴェルディの教会音楽の大作『聖母マリアの夕べの祈り』がコンサート形式で公演される。これは室内管弦楽団であるThe English Concertとのパートナーシップの始まりを祝うためで、メアリー・ベヴァン、ソフィー・ベヴァン、ベンジャミン・ヒュレットを初めとしたスター達がソロを担当し、ローレンス・カミングスが指揮を執る。このバロック音楽の傑作をガーシングトンがどのように披露するのか楽しみだ。

30周年記念にふさわしいレパートリーを堂々と並べ益々勢いに乗っているガーシングトンオペラ。チルターンの丘陵に広がる風光明媚なウォルムズリーの敷地には観客を迎えるための細かな心配りが尽くされているので、優雅で幸せなひと時を過ごせること間違いなし。本当にお勧めです。当日は早めに行って広大な庭を散策することを忘れずに。

チケット予約は2019年3月19日(火)より受付開始。

オンラインhttps://www.garsingtonopera.org

または電話+44(0)1865361636で。

©️Photo:Miho Uchida. オペラハウスに隣接するバー

©️Photo:Clive Barda. 湖畔でピクニックを楽しむ観客達

©️Photo:Miho Uchida. クリケット・パヴィリオンの傍でくつろぐ観客達

©️Photo:Clive Barda. ウォールド・ガーデン内

©️Photo:Miho Uchida. ウォールド・ガーデン内のクロッケー場で遊ぶ観客達

Miho Uchida/内田美穂

聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラにおけるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、日本の雑誌にて執筆中。

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