英国で教育しよう!長男の巻:ナーサリーとプレ・プレップスクール その2
モンテッソーリの教育方針は子供の自発性を尊重するものである。知的好奇心はどの子にもあり、それを自発的に発揮させる為に子供に自由な環境を与えることを重視するので一斉教育は行わない。年齢別にクラスを分けるのではなく、3歳から5歳までの子供達が同じ部屋で一緒に学んでいる。モンテッソーリ教育用に特別に作られた木製の色とりどりの玩具が子供達の手の届く高さにテーマ別に並んでおり、子供達はその中から自分の好きな物を選んで遊ぶ事ができる。部屋を自由に歩き回り、自分の好きな玩具を選んでいすに座って遊ぶのだ。玩具は形、手触り、材質など吟味されており、子供達の五感を優しく刺激するように出来ている。リボン結びや、ボタンがけ、掃除や、皿洗いなど普段の生活に必要な実用的な技術を学びながら、手の器用な動きを発達させる玩具や、匂いを嗅いだり、音を聴いたりして聴覚や嗅覚を発達させる玩具、また触りながら重さや数の感覚を身につけ、自然と算数を学ぶことの出来る積み木や棒の玩具が並んでいる。読み書きを覚えるための玩具も充実していて、shは、「シュ」と発音し、chは「チュ」と発音するように表音文字から学ばせ順々に物のスペリングが出来るような指導をしていた。伸び伸びした環境が私は好きだった。
最初は送り届けた後心配でならなかったが、長男は泣くこともなく、学校に慣れていった。特に学校が楽しいとも言わなかったが、嫌がりもしなかった。友達もでき、放課後にはその子の家に遊びに行ったり、遊びに来てもらったりして順調に適応しているかのように見えた。そして割と早く9時から16時までの通常のカリキュラムで学校に通うことになった。しかし英語はなかなか上達はしなかった。親は何も考えずに子供を見守ってやるのが一番なのだが、初めての子供だったため、なるべく外国人の子供達と遊んで英語が早く上達して欲しいなどと、今から思えば全く必要のない馬鹿なことを考えた。一方でやはり長男はとても緊張していたのだと思う。4歳も過ぎた頃、急に夜中のおねしょが始まってしまった。そしてそれは6歳になるまで2年も続いた。そちらに関しては私は全く気にせず、とにかく意識させる事が何よりも悪いと思い、オムツをさせるわけでもなく、病院に通うこともなく毎日何も言わずにシーツを洗濯し続けた。すると6歳を過ぎてしばらくしたらぴたっと止まった。多分、夫も長男も彼が6歳半までおねしょしていたことなんて全く記憶にないと思う。(続く)
*学校区分の日英比較は大体下記のとおり。(英国日本婦人会発行『ロンドン暮らしのハンドブック』2017年5-8改訂版p。35参照)
Miho Uchida/内田美穂
聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラにおけるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、日本の雑誌にて執筆中。