英国で教育しよう!長女の中学校受験その4
ヘンリエッタ・バーネットは独自の学科試験があったが、他の4校は私立の学校協定で1つの試験の結果を共有できるシステムになっていた。そうすれば子供達がストレスのかかる試験を4回もしないで済むからだ。すなわち、NLCS とチャニングは1つの試験結果を共有し、またシティとサウスハムステッドがもう1つの試験結果を共有したので4校の選考の為に2回試験を受ければよかった。従って長女は合計3つの試験を受けた。ヘンリエッタ・バーネットは1次試験にバーバルとノンバーバルリーズニングがあり、それに合格すると2次試験で英語と算数の試験があった。2次試験を受けたあと試験会場に長女を迎えに行ったときの印象は70%がインド人ではないかと思うほどインド系の子供達が多かった。英国には優秀なインド人がたくさんいて競争を激しくしているのが現状だ。面接試験はなかった。私立4校は学科試験の後どの学校も面接があった。どの学校も面接官の目の前で算数の難問を解かされたりして11才の子供にとっては緊張する場だったと思う。親の面接はどこもなかった。ヘンリエッタ・バーネットの1次試験は11月にあったが、他校の試験は1月にあった。
長女はピアノが上手だったので私立4校を受ける際に音楽奨学金制度に申し込んだ。学費は決して安くないので10%でも20%でも奨学金が貰えば助かるし、名誉でもある。条件は一つの楽器のグレード5まで取っていることで、口答試験と楽器の実技試験があった。奨学金を受ける際は学校のオーケストラ、または音楽活動に積極的に参加する事が条件である。音楽奨学金の試験は4校とも1月にあった。なので1月は学科試験も重なりかなり忙しくなった。
結果は全校一斉、3月1日に発表があった。幸いにも私立は4校とも合格し、サウス・ハムステッドは音楽奨学金50%も頂けた。ヘンリエッタ・バーネットは20番の補欠だった。20人も欠員が出るとは思わなかったので受からないかと思ったが、家庭教師のS. H先生が20番だったら多分入るだろう。と言った。先生の予測したとおり、一週間後にヘンリエッタ・バーネットから合格の連絡があった。音楽奨学金を頂けたのは、S先生の熱心で生徒をインスパイアするお人柄のお陰だ。英語と算数、そしてバーバル、ノンバーバル・リーズニングはS.H先生の厳しいながらも的確な指導のお陰である。娘もがんばったとはいえ、特別に緊迫した雰囲気が漂う事もなく中学受験を乗り越えられたのはよき指導者達に出会えたからで、本当に運が良かったと思っている。
(続く)
*学校区分の日英比較は大体下記のとおり。(英国日本婦人会発行『ロンドン暮らしのハンドブック』2017年5-8改訂版p。35参照)
Miho Uchida/内田美穂
聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラにおけるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、日本の雑誌にて執筆中。