人生の半分以上を英語圏で過ごし、こんなことを言うのもおかしいが、筆者はおせいじにも外国語が得意な脳みそを持っていない気がする。しかも十代で米国に単身留学し、それなりに米国語を使いこなせるようになった後、まさか英国に移住するとは想定外だったし、これほど英語で今更泣かされるとは夢にも思わなかった。ロンドン生活は早くも17年目を迎えるのだが、今でも人生初めてロンドンを観光で訪れた時のショックは忘れられない。。。
観光二日目、ロンドン市内の米国企業ではないコーヒーショップに入り、カフェラテを注文するために並んでいた。イギリス人らしき女性が私の後ろにすっと立ち、突如「Is this a queue?」と訪ねてきた。「イズ ディス ア キュゥ?!」と、当時「キュゥ」の意味もその単語の存在さえ知らなかった私は彼女の放った言葉をそのままおうむ返ししてしまった。そして近くにいた米国人の相方に顔で「?????」を表現すると「それは列に並んでいるのかって聞いているんだよ」と米国語発音で教えてくれた。しかも私たちの言動がいかにもアメリカ人ぽく大げさで声も大きく周りの注目を集めたため、その場にいた英国人が紳士淑女ぽくクスクスっと笑って、心の中で「なんてバカなアメリカ人旅行客だ」と思っただろうということは否めない。その他にもコーナーショップ(日本のコンビニより劣るが街の至る所にある比較的なんでも売っている店)でペットボトルの水を買おうと「Can I have a bottle of water?」と言ったのに店員にはそれが通じなかった。。。つまり水である、「ウォーター」の発音が現地の人には全く通じなかったのだ。。自尊心は木っ端微塵に砕けた(苦笑)他にも知り合った友人夫妻で、英国人のご主人がある日、私に向かって「君は語学学校にもう一度行って、その米国語を直すべきだと思うよ。イギリスに住んでいる日本人なのに米国語を話すなんておかしいじゃないか。。それと単語の一番最後の『T』の発音はしっかりしないと教養のない人に思われるから。」と。。。
この発音についてはまた次回。
米国では大学も卒業し、現地の会社に就職、結婚、ほぼ言語での不便さは一切なかった。しかし初めてロンドンに旅行に来た時に自分の英語が通じないどころか、ロンドンに住んでいる人たちの英語すら自分が聞き取れないことを悟った。かなりショックだった。自分がこれほどまでに無能に思えたのも久々かもしれない。そしてスタンダードな英国語を話しているBBCのキャスターの発音でさえ全く聞き取れず、耳が慣れるまでに約2ヶ月掛かった。そこから母音の発音の違い、綴りの違い、イディオムの違いを少しずつ学んでいくことになった。今でもなお、英国語、クィーンズイングリッシュを日々学んでいる状態だ。これからシリーズで何がどう違うのかをお伝えして行きたいと思う。